広南小学校読み聞かせ(26)

3月3日(月)

今朝はここ数日の霞もなく、青空のひろがるお天気に。

つぶ山からはウグイスの声が聞こえてきた。

 

広南小学校読み聞かせ。

今日は1年生を担当。

 

「前に出てもいいですか?」と聞いてきたので、「いいですよ」と答えると、みんな前に椅子を持って移動。

今朝読んだのは、

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「わたしのおひなさま」

おばあちゃんが、孫のももちゃんのからだを、お母さんの作ったおひなさまでさすってくれた。

そのおひなさまを川に流すと、川の底からすーっと手が出て、そのおひなさまを持って行った。

ももちゃんは、「かえしてー」と川へ飛び込み、追いかけていく。

 

おひなさまを持って行ったのはカッパのお父さん。

娘のかなこが病気で寝ている。

その娘を助けてほしいと、おひなさまをさすり続け、川へと流すと・・・。

 

ひなまつりは、川に流して厄払いをする流しびながはじまりといわれる。

 

浄土真宗では「厄払い」はしないけれど、この絵本を読むと、親が子を願うこころ、おじいちゃん・おばあちゃんが孫を願うこころは、いつの時代も、どんな世界でも同じなんだなぁと感じさせられる。

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もう10年くらい前になるが、1羽のシジュウカラのヒナが、巣から落ちて境内をヨチヨチと。

飛ぶことも出来そうになく、ネコに食べられたら大変だと思って、そーっと近づき、手を伸ばしたら・・・。

 

どこからともなく、親鳥が飛んできて、伸ばした手に小さなからだで体当たり。

「ごめんなさい!」

ずっと子どものことを心配で見てるんだなと。

そんなことを思い出した。

 

この本を読んだことのある児童は数人いたが、みんな静かに聞いてくれた。

感想も手を挙げてくれて。

「カッパのかなこちゃんが元気になってよかったです」と。

 

みんな、みんな、願われてる。

2014年3月3日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(25)

2月24日(月)

ソチ・オリンピックも終わり、今朝は2月最後の広南小学校読み聞かせ。

担当は2年生。

今日、読んだ本は、

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『オオカミくんはピアニスト』

2007年にアニメーション映画化され、カンヌ国際映画祭をはじめ、いろんな映画祭に出品されているようなのに、何故か日本公開のなかった作品。

 

こころやさしいオオカミくんはピアニスト。

でも、ひとりぼっち。

 

そのオオカミくんのもとへ、

「オオカミくんへ

ぜひ ピアノをきかせてください。」

と手紙が届く。

 

オオカミくんは、遠いその送り主のもとへピアノを引っ張って訪ねていく。

 

演奏のお礼に、カモメたちは魚を。

リスたちは木の実。

でも、オオカミの食べないものばかり。

それでも、オオカミくんは、「ありがとう」といただいて帰る。

 

ヒツジたちは、自分たちの毛で作ったセーターをお礼に。

喜んだのも束の間。

一匹のヒツジが、「オオカミは おなかがすくと ぼくたちを たべちゃうよ!」と叫んだので、みんな逃げ去ってしまう。

 

それでも、オオカミくんはみんなのことを思い続けて。

 

この本の帯に、「勇気の出る絵本  心をつなぐピアノの音色 きっと 誰かが待っている」と書いてあるのだが・・・。

 

それはともかく、いろいろと考えさせられる絵本。

自分がオオカミくんを招いたら、何のお礼をしよう?

オオカミくんは、なぜひとりぼっちなんだろう?

 

カモメたちは魚、リスたちは木の実。自分たちのなかで最大級のお礼だったに違いない。

でも、オオカミくんには・・・。

ヒツジたちは自分たちの毛で編んだセーターを。

でも、「オオカミは、ぼくたちをたべちゃうよ!」の一言で台無しに。

 

みんな、オオカミくんのことを知らない・・・。

 

読み終わって感想を聞いてみた。

一生懸命考えて何とか答えようとしている姿が印象的だったが、少し難しかったかな。

 

相手を思いやるこころを大切に。

 

2014年2月24日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(24)

2月17日(月)

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

担当は3年生。

今日、読んだ絵本は、

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牡丹靖佳作、『おうさまのおひっこし』

 

2012年と比較的新しい絵本だが、とても絵が繊細で美しい絵本。

はずかしがりやの王さまと、あわてんぼうの6人のおともたちの物語。

 

はずかしがりやの王さまは、いつも小さな声で命令をするので、うまくおともたちに伝わらない。

あわてんぼうのおともたちは、それでいつも勘違いして行動してしまう。

 

ただ、お互いがお互いのことを思ってしていること。

思いとは違っても、何だかそれでも良いなと思わせるような勘違い。

 

線が細く、淡い色彩だったので、読み聞かせには難しいかな?と思ったが、みんな最後まで見入ってくれていた模様。

持っていたものを何もかも失ってしまっても、やさしいこころは残ってた。

 

寒いなか、今日はほっこりと感じさせてくれるお話。

 

2014年2月17日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(23)

2月3日(月)

昨日に続き暖かく、白い霧に覆われた朝。

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

担当は4年生。

 

鬼は外、福は内

ちょうど節分ということで、今日は鬼の登場する絵本を。

選んだ本は、

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5ひきの小オニがきめたこと

イギリスのサラ・ダイアー作、毛利 衛 訳。

「もうり まもる さんって知ってる?」と尋ねても、「・・・、知らない・・・」と。

宇宙飛行士の毛利 衛 さんのことは、もう小学生には知られてないのかな?

 

「なんてすばらしいけしきなんだ」

地球上の景色をいつも眺めていた5匹の小オニ。

あるとき、眺めているだけではおさまらず、みんながそれぞれに自分の好きなものをとることにした。

お月さま、太陽、空、大地、そして海。

それぞれ自分の好きなものを大事に仕舞ったけれど、そのうち大切なことに気がついて、元に戻すことに。

 

せっかくなので、毛利さんのあとがき、「自然はすべてつながっている」を読んだのだが、ちょっとこれが難しかったかな?

そのあとがきの結びの文に、

この本に登場する小オニたちは全能です。地球そのものである、大地、海、空を手に入れるばかりでなく、宇宙にある月や太陽も手に入れるほどです。ひょっとしたら人間も、この小オニになろうとしてきたのでしょうか。広大な宇宙に太陽系ができた46億年の時間と空間のつながり。さらに、地球と呼ばれる大地に海と空ができ、生命がはぐくまれた40億年の時間と空間のつながり。その中に、私たちが存在します。その小さな生命の側から逆に、太陽、海、空、月、太陽を見るから、うっとりするのでしょう。私たちはその大事さにすぐに気づく、賢い小オニとなれるでしょうか。

すべてがつながっている。

でも、賢い小オニのように、大事なことに気づかず、元に戻すことができなかったら・・・。

 

鬼は外、福は内

鬼を追い出すだけでなく、今日はオニをご縁に何に気づかせていただこう。

2014年2月3日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(22)

1月27日(月)

今朝はずいぶん冷え込んだ。

今年初めての読み聞かせ。

今朝の担当は1年生。

年の初め、1年生には楽しい絵本を。

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『おもちのきもち』

ペッタンペッタン、叩かれ、のばされ、引きちぎられ、しまいには食べられてしまうおもち。

かがみもちは、決心して逃げ出して・・・。

何ともユーモラスなお話。

 

「お正月におもちを食べましたか?」と尋ねると、「しょうゆを付けて!」「きなこもち!」と元気な答え。

でも、おもちの気持ちなんて考えて食べてる子はいないかな。

 

そういえば、先日、某コンビニで、フォアグラを使ったお弁当が、飼育方法が残酷だとの意見を受けて、発売中止になったとか。

 

読み終わった後、面白いことに、表紙の絵を見て、この顔が怒った顔に見えるという子と、怒ってるようには見えないという子が意見を交わす。

 

相手の気持ちを考える。

大切なことではあるが、

「さーてね。それは おもちに きいてみんと わからんのう。」

最後の言葉が頭をよぎる。

 

何はともあれ、食事の後は「おかげでごちそうさまでした。」

2014年1月27日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(21)

12月16日(月)

今日は今年最後の広南小学校読み聞かせ。

担当は4年生。

先週まで図工の時間に版画をしていたということで、ちょうど版画の絵本を見つけた。

『雪の写真家 ベントレー』

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雪の大好きな少年だったウィリー・ベントレー。

かあさんにもらった顕微鏡で雪を観察し、その結晶の美しさをみんなに見せてあげたい。

顕微鏡付きのカメラがあることを知ったウィリーは、そのことをかあさんに相談。

とうさんとかあさんは、貯めていたお金でウィリーに10頭の乳牛よりも高価な顕微鏡付きカメラを買ってあげた。

そのカメラで雪の降る日は来る日も来る日も雪の結晶を撮り続けたが、村の人たちはまったく感心を寄せなかった。

それでも、ウィリーはずっと撮り続け、次第に評価されるように。

ただただ、自分の大好きなものを世界中の人に見せてあげたいと思って。

そんなウィリー・ベントレーの物語。

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昨年は初めての読み聞かせということもあり、この報恩講時期は喉に負担のかかることは辞めさせていただいたのだが、今年は声をかけていただいて、秋も引き続いてさせていただいた。

ベントレーのようにはいかないが、私も読み聞かせを通してお裾分け。

 

そして、法務ではいただいた宝物のお裾分け。

 

願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽国

2013年12月16日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(20)

12月9日(月)

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

担当は2年生。

男の子たちが前に椅子を持ってきてずらりと。

 

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今日、読んだ絵本は『きみにあえてよかった』

 

男の子ベンは、犬“スクランピイ”が大好きだった。

その大好きなスクランピイが亡くなってしまう。

悲しんでいるベンの姿を見て、お母さんが「あたらしい犬をかってみない?」と。

 

「いやだ!ぜったい!スクランピイとおなじ犬なんて、どこにもいないんだ」

 

あるとき、よその犬がしでかした姿に、スクランピイとのことを思い出し、大笑い。

スクランピイとあえて幸せだったんだと気づいたベンは、新しい犬を飼うことに。

でも、新しい犬“ハニー”は、これからもけっして、ぜったいスクランピイのかわりにはならないだろう・・・それでもハニーは、ベンのだいじな友達になったんだ。

 

きれいなやさしい色使いの絵本のなかに、いのちの終わり、別れ、そして悲しみ。その悲しみが時間とともに思い出に。

 

読み終わり、「犬を飼ってる人!」と尋ねたら、「ハイ!」と数名。

隣の男の子が、「おまえの家はネコだろ?」

「おばあちゃんの家に犬を飼ってる!」

 

いずれにしても、いつか訪れる別れ。

でも、「きみにあえてよかった」と思えるようになるといいね。

2013年12月9日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(19)

12月2日(月)

今日は青空がひろがり、少し気温も緩んだよう。

広南小学校の読み聞かせ、今日は6年生を担当。

 

6年生には、少し大人向けの絵本をと思い、『百年の家』。

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1656年に建てられた家も、無住になり、朽ち果てていたのを、1900年にクリとキノコを探しに来た子どもたちに見つけられ、再び家としての歴史を綴ることに。

その家が見た1900年から100年間を描いた作品。

日々の生活と共に、結婚があり、葬式があり、旅立ちがあり、戦争・・・、そして誰もいなくなり、壊されて新しい家へと生まれ変わる。

 

静かな静かな絵本。

ちょっと難しかったかな?と思いながら、

「何か感想ありますか?」と問うと、「・・・」

「感想がなければ、これで読み聞かせ終わります」というと、「日直さんが感想をいうことになっています!」と。

日直さんがちょっと考えて、「最後、新しい家に建て変わって、人が住んでいて良かったなと思います。」

 

「長浜にも百年の家のように古い家がありますが、どう思いますか?」

「え?あのオバケ屋敷のことかな!?」

 

いままでの暮らし方を継がない。それが新しい世代だ。

だが、若さだけでは、この家の古い石は、とりかえられない。

この家がわたしだ。けれども、わたしはもうだれの家でもない。

運命をたどってきたわたしの旅の終わりも、もうすぐだ。

 

この家の語ることばが、何とも今を物語ってるような気がした。

専徳寺のイチョウは、何百年もこの寺を、この長浜を何度も葉っぱを散らしながら見てきたことだろう。

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ただ、毎年その落ち葉の量は半端でない。

この時期、ご近所へはいろいろ御迷惑をおかけしているが、とりかえられない命を今年も黄色く色づいて見せてくれる。

何世代も前の人の目にも映っていた色で。

 

何となく、そんなことを思いながら帰宅して、今日もお参りに。

2013年12月2日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ (18)

11月25日(月)

朝から雨。

11月最後の読み聞かせに。

今日の担当は4年生。

今日読んだのは、

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オーストリアのヘルガ=ガルラー作、『まっくろネリノ』。

1973年初版のこの絵本。何と、今年の5月で91刷!

ずいぶん、読み継がれてきている絵本。

でも、みんな初めての本だと。

 

お父さんとお母さん、そして4人の兄がいるネリノ。

いろんな色をした兄さんたちは、まっくろくろのネリノを仲間はずれに。

いつもひとりぼっちだったネリノ。
ところがある日、兄さんたちがいなくなってしまって、そのまっくろなからだが大活躍。

 

4年生には少しやさしすぎる絵本かも知れないけれど、4年生だからこそ、この物語に込められた願いを感じてくれたかな?

『みんなちがって みんないい』のこころ。

2013年11月25日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ (17)

11月18日(月)

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

3年生を担当。

今日読んだ本は、宮沢賢治の『竜のはなし』。

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短い文章で、決して内容は楽しいものではないのだが、とても深い物語。

ゆっくりと低い声で読むことに。

 

みんな、じっと静かに聞いていた。

 

浄土真宗本願寺派僧侶でもあった童話作家花岡大学氏を調べていて見つけた絵本。

あとがきに『「賢治童話」の「やさしい心」』と題して、花岡氏が記している。

どちらかといえば相手が幼児だからといって絵本がなにかファンタジーの世界だけによりかかろうとするような傾向のつよいことに、いささか不満を持っていたわたしは、もちろん教育が喪失している「あるべき精神」をちゃんとふまえて、今深く考えなければならない問題をいっぱいにみなぎらせながらしかも絵本のこれからのあるべき方向を示しているこの作品をみて、久しぶりに昂奮し感激した。

と。その「あるべき精神」とは、「やさしさ」。

だがその「やさしさ」とは、日常的な語感による「なよなよした優美なやさしさ」ではなく、「強靱なやさしさ」といってよく、つまり「自」を「他」に投入していさぎよく「死」に、いささかも、「はね返ってくるもの」を求めないといった、すさまじい精神のことである。

と。

表紙を開くと、

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このはなしはおとぎばなしではありません。賢治

と、はじまる。

 

もう悪いことはしない、すべてのものを悩まさないと誓った竜。

人に皮をはがされても、虫にからだを食べられても、まことの道を求めてじっとなすがまま。

そして死んでしまい、後にお釈迦さまとして生まれ、みんなにいちばんの幸せを与えたという竜の話。

 

読み終わって「どうでしたか?」と尋ねたら、「・・・」。

「こんな生き方出来る?」と尋ねたら、「無理に決まってる!そんなことしたら死んでしまうし。」

 

「他者のために」という生き方は、自分中心の生き方をする人間にとって、とっても難しい。

他の命をいただきながら、自分は今を生きているのだから。 

 

この竜のような生き方は出来なくても、この竜から今の自分を知ることは少しくらい出来たかな。

2013年11月18日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku