5月23日(木)
レンタカーを借り、、盛岡を後にし、サクランボ畑の白い花が美しい花巻の温泉で一泊。
翌朝、花巻市の宮沢賢治記念館を訪れた。
朝一番に行ったのに、すでに修学旅行生が訪れていた。
次に向かったのは、昨年世界遺産に登録されたばかりの平泉。
「仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」とはいっても、その中心にあるのは『法華経』に基づく浄土。
奥州藤原家はこの世を浄土に。そして、宮沢賢治はイーハトーブ(理想郷)。
今を何とかして欲しい、今を何とかしたい。
災害などの多かったこの地では、昔からそれが求められていたのだろうか。
先日の聞名講で、「どうして今生でなく、後生の一大事なのでしょう?」との質問をふと思い出す。
ただ、
夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡 (芭蕉)
この世を理想的な世界に、安心安全な世界に。
分からないではないが、それが出来ないから人間は同じことを繰り返す。
北上川のほとりを延々と下っていく。
とても緩やかに、穏やかに流れている大きな川。
その先にあるのは大川小学校跡。
目的地に近づくにつれて、様子が変わってくる。
ダンプカーが次から次へと。
小学校の児童、教職員の多くを津波で失った。
津波で壊れた校舎は入れないようになっていたが、砂嵐のような突風が時々吹く場所で、ことばを失う。
ただ手を合わせ、お念仏するのみ。
お花がいっぱい供えられたその前を、復興に向けてダンプカーが次々と走っていく。
当時小学校1年生だった長男が、寝る前に不安そうにこんなことを言った。
おとうさん、津波が来たらぼくを連れて逃げてね。
「だいじょうぶ」と言って寝かせたが、その後大川小学校のことを知る・・・。
以前購入した絵本を読み直した。
お母さんたちは、愛する子どものことを思いながら、今を生きている。
仙台へと向かい、最後に訪れたのは本願寺仙台別院。
東北では、カーラジオを付けていると、「復興」「再生」「再出発」「リスタート」・・・のことばが次々と流れる。
まだまだ時間はかかりそうだが、今を生きている。
短い滞在ではあったが、ちょっと東北を感じ、「いのち」を感じるご縁をいただいた。
岩手は、NHKの朝ドラ『あまちゃん』効果でたくさんの人が訪れているらしい。
ボランティアとか、直接の支援が出来なくても、「わたしのできること」から。