5月27日(水)
朝席で御満座。
永代経と併せて、前住職の三回忌と前々住職の五十回忌をみなさんと一緒にご縁にあいたい。
いつもは午前7時30分から始まるのを、午前10時からに変更して。
昨日の夜席が終わった後、御講師部屋で昨日の『蚊が0プロジェクト』の話をしたら、大変興味深く聞いてくださって、今朝のご縁で早速『長浜郷土誌』の巻頭あいさつに触れてくださった。
山の中腹にある母の墓に詣でるごとに、私はじっと長浜の町を見下ろします。青い静かな港、2つのお寺を中心に波のようにひろがった屋根の光、こんな美しい町が自分の郷土かと思うと、私はしばしうっとりさせられるのです。そして墓地の上がり下がりの狭い急坂と石段の道、家と家が重なり合い、右に左にいくつも分かれ、映画「ペペ・ル・モコ」に出るモロッコの町に似た、怪奇な美しい坂道を、私は、またこよなく愛します。
この町に黙霖が生まれ、石泉が法を説いた必然性が、この美しさと怪奇さのうちに含まれているかどうか、私にはわかりません。しかし、心の美しい変わり者が生まれ出る必然性は充分ありそうです。そして後に生を受けた私どもが、この二人の美しい変わり者を、あの迷路のような坂道と同じに愛するのも、また不自然ではないと思われます。いや、この二人だけでなく、私ども長浜の子のすべてが美しい変わり者であり、それ故に慈しみあっているのかもしれません。(中略)すぐれた味覚は、著名な料理店でのみ得られるのではなく、至る所の家庭の台所で生み出されているように、すぐれた生命も、有名人のうちにのみ生きていないで、無名の民衆の生命によってつくられているのです。
つい最近の数ヶ月に、長浜の民衆は全国に先駆けて、「蚊とハエのいない町」をつくりあげました。民衆の英知と努力のうんだ立派な文化であり、郷土史の上に輝く1ページであります。有名人や権力者を何人出したことよりも、私はこのような民衆の見事な仕事の上に、郷土の誇りを感じます。それは何よりも町の人々全体が美しい変わり者であることを如実に物語っているからです。
これは、当時の松本賢一呉市長の寄せたことば。
「美しい変わり者」
長浜の中にいると、それが「当たり前」になっていることが、実は外から見ると、とっても「有り難い」ことであったりするのだそう。
「土徳」
突然降って湧いたものでなく、昔々から受け継がれてきたご縁がととのったもの。
今席では笑いの中に、癌で亡くなられたお子さんと両親の話を聞かせていただき、「幸せ」の意味を改めて。
後片付けとか、今日一日のすべてが終わり、夕方、この市長の歩いた坂道を登ってみた。
久しぶりに登ると、登ってる間は、何とも細くてきつい坂道だなとつくづく思う。
でも、登って振り返り、この長浜の眺めを見た時、この眺めがあるから、ここに墓を建てて登ってきたのだろうな・・・と。
この道をこれまでどれだけの人がいろんなことを思い、往来されたのだろう・・・と。
誰もが、こんな険しい坂道のない方がいい。面倒なこともなく、楽な方がいい。と、思うだろう。
でも、そこに何の「よころび」を味わうご縁もないかも・・・。
永代経法要 と 前住職と前々住職の法事。
暑い中、たくさんのお参り、ありがとうございました。
5月29日(金) 広南中学校で、科学部(蚊が0PROJECTチーム)発足記念講演が開かれる。
講題『蚊の研究をすすめる君たちへ』
蚊の研究の第一人者 池庄司敏明先生(元東京大学農学部教授)をお招きしての講演。
何と、この方も長浜出身。
興味のある方は14時から15時まで、どうぞご来校を。