8月7日(水)
今日の昼席から明日の昼席まで、4席小坪説教所の盂蘭盆会。
盂蘭盆会、お盆、歓喜会、いろんな呼び方があるけど、お盆ってどんなこと?
絵本を通して、世間的に伝わっている「お盆」をまずはお話。
そして、餓鬼草紙に描かれた『盂蘭盆経』のお話を。
お盆にまつわることをということで、「帰省」という言葉を調べてみた。
この帰省には、故郷へ帰るという意味だけでなく、親の安否を気づかって故郷へ帰るという意味があることは、以前から知っていたのだが、調べなおして、これは朱慶余の漢詩にその出典があると知る。
そこでその出典を探せど探せど見当たらない。
ふと「帰」でなく、「歸」だと気づき、中国語のサイトでようやく見つかる。
《送張景宣下第東歸(歸揚州覲省)》朱慶餘
歸省値花時,閑吟落第詩。
高情憐道在,公論覺才遺。
春雨連淮暗,私船過馬遲。
離心可惆悵,為有入城期。
『全唐詩』の中にあるようだが、そこから先が分からない・・・。
ただ、そんなことを調べていて、『帰省』というタイトルの中島みゆきの歌があることを知った。
夜席では、その歌を聞いていただく。
帰 省
遠い国の客には笑われるけれど
押し合わなけりゃ街は 電車には乗れない
まるで人のすべてが敵というように
肩を張り肘を張り 押しのけ合ってゆくけれど年に2回 8月と1月
人ははにかんで道を譲る 故郷(ふるさと)からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれる
機械たちを相手に言葉は要らない
決まりきった身ぶりで街は流れてゆく
人は多くなるほど 物に見えてくる
ころんだ人をよけて 交差点(スクランブル)を渡るけれど年に2回 8月と1月
人は振り向いて足を止める 故郷からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれるけれど年に2回 8月と1月
人は振り向いて足を止める 故郷からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれる
生前において強欲で嫉妬深く、物惜しく、常に貪りの心や行為をした人が死んで生まれ変わる世界を餓鬼の世界というそうだが、ふり返ってみれば、今がまさに餓鬼。
8月と1月、盆と正月、帰省先で人間としての心を。
親の安否を気づかって故郷へ帰るといいながら、親が子の安否を気づかって呼び戻す姿がそこにある。
そこで、「人間」としてのお育てをいただくのかな。
暑いなか、ようこそのお参りでした。